…前略…

 古代の遺跡と言われているユペロスを見ながら私はふと思った。今よりずっと発展して
いたこの文明の持ち主は果して誰だろうか。どうして今は科学より魔法に頼りがちになっ
てしまったのかを。

 ユペロスの内部を探査していくほど、古代人たち(この文明がどの時代の物なのかが特
定できないため仮にそう呼ぶ)の生活レベルを断定する事もできない。彼は神のようであ
ったとでも言うのか?人間の形をした有機体を見ながら感じた事を言葉で表すのは到底不
可能なことだ。

…この巨大な有機体を再び動かす事はできないだろうか?ユミルの心臓を原動力にしてい
たとは一体どうやって?これらを使って魔物との戦いに使いさえできれば?

(次ページへ続く)

 

…X年X月X日

 驚いた。私はここで発見した巨大な鉄巨人の有機体を元としたガーディアン(人間を守
る存在になるよう)を作る計画を持ってここに戻ってきた頃、人間としか言いようが無い
(それも女性!)新たな有機体を発見することができた。それはまるで人間そのもの…ど
こか魔力が感じられるこの存在は…ひょっとしたら昼寝をしているのような錯覚に陥るほ
どの穏やかな表情をしている。しかし彼女には魂と言う物はない!ここに隠されていた他
数十体の巨人たちと共に。

…中略…

 もしやこれが偉大な発見?彼女の体から特殊な波状を持つ魔力が感知された。この跡を
上手く辿れば彼女の正体にも近づけるのでは?

…中略…

 彼女の痕跡は大陸の至るところで発見される。スグラト砂漠近くにも繋がっていること
は知っているが、そこは砂嵐が酷くて中々人が足を踏み入れるのを歓迎してはくれない。
他のところを調べる事にしよう。(次ページへ続く)
…中略…

 ついに他場所へ移動した彼女の痕跡に辿り着くことができた。この奇妙な波状を持つ魔
力を解明するためにも彼女の跡をしっかりと調査しなければならない。

 …いきなりだが痕跡が北上地方で沢山発見されるようになった。明日はジュノーから再
スタートすることにしよう。こんな生活がずっとできればいいのに…

X年X月X日

 彼女の痕跡が突然途切れてしまった。絶壁のような崖で見えなくなってしまった。しか
し何かが心に引っかかる。今日はこのくらいにして、明日もう一度考えることにしよう。

…中略…

 古代の神とも言われていたユミル。そして神の心臓の欠片。これはどんな理由により生
まれたのか?これに宿った魔力は、不可能を可能にする事ができるほど強力なものだ。私
の研究もそのコンセプトのはずだが…(次ページへ続く)
…中略…

 寝付きが悪い。長い間続けて来た路上生活のせいか。……研究所に戻れば身体は楽にな
るだろうが……。時々私は、人間の無意識は本当に恐ろしい物だと思う。ついさっきもい
くら考えても解決できなかった計算式が、夢の中で明快な答えを得る事ができた。夢で答
えを得るとは……これこそまるで夢でも見ているようだ。
(落書きのような図案が書かれてある紙の大半が破れている。)

…中略…

どこか寝心地が悪く、ふと目が覚めた。一度起きてしまったので再び眠るのは不可能であ
ろう。無性に腹が立つ。ふむ…不思議な魔力の波状が感じられる。

(次ページへ続く)

 

 

X月X日

 この崖の先は深い谷ではなかった!!続いて感じられる魔法。わざと隠そうとしていた不
自然さ。しかし途切れていた彼女の波状。全ての秘密が目前に現れたのだ。目の前の幻覚
が無くなり、いつの間にか巨大な塔が立っていた。これは世紀の発見になるかも知れない。
一日でも早く研究所に知らせて調査を始めなければ!

塔の中…………………
…所々見える彼女の激しい戦闘の跡………
………………………………………ゲート…
…間族。
…………………8階の封印…

…これらを総合にしてみると………

 ここは伝説として扱われていた魔塔。あの魔王モロクが魔界から召還されたと言われて
いる場所なのか?!この戦いの跡は……しかし彼女の跡はここを最後に見当たらなくなって
いる。その代わり、彼女が持つ独特な魔力の波状と凄く似ている波状が…
(次ページへ続く)
…中略…

 何百年もの間、この塔が一度も発見されることが無かったと言う話は今でも信じがたい
が、少なくとも魔王が召還された場所を理由に、人々が遠ざかるような対象になっていた
のはほぞ間違いないだろう。今になっては脅威のような者は見当たらないが、この魔塔の
どこかにきっと魔界と繋がる場所があるはず。どんな理由かは知らないが、明日には最上
階を目指してみよう。

おお、神よ…
何上偉大な英雄の方々の魂がこちらに残っているのでしょう…
いいえ、若しくはそれはあの方の魂の一部でしょうか。
どうかこの未熟なわたくしの為に答えを導いてください…

あの魔王を倒したとされる偉大な剣士、タナトスに会うことになるとは……
しかしあの方は数百年も前の伝説の人物。わたしはそれを科学の力で証明しようとしていた。
………何と馬鹿なことを…

-以降、酷く汚れていて何が書かれているか分かりづらい―
(次ページへ続く)
  何日間に渡っての調査の結果、タナトスは実体ではなく、ある理由によってここに残さ
れた英雄の思念体と言うことが判った。かれの欠片は献身的に最上階を守ろうとしていて……

…中略…

 ゲートの連結点を捻るのに成功した!この塔に人が足を踏み入れてはいけない。明日に
は彷徨う英雄の思念体を封印しなければ………

…中略…

 封印は以外と簡単にできてしまった。
  魔力の根源地(現代地表図に準拠して表記)-タワー閉鎖時魔力封印 (作業が必要)
   3f 67 70
   4f 195 195
   5f 62 179
   6f 226 220
   7f 204 181
   8f……………全地域…ここはどうすればいいだろう。
(次ページへ続く)
  しかしながらよく考えてみてもやっぱり変だ。私は果して科学者?それともマジシャン?
はは………

……ところで彼女は?……
…魔剣士タナトスから感じていたその波状は、その勢いは……彼女のパワーが消えて以来、
新たに感知したそれとまったく一緒だった……………

…中略…

…一旦ゲートの連結点を捻るのには成功したが、……何しろ無理矢理行ったもので……
もし誰かがこの封印を破って入ってくることになったら…!

………
…………

-これ以上は汚れ過ぎていて何が書かれているのか分からない。また、これ以上手帳のメモ
も続いていない。-

SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu